遺伝子が発現する過程では、様々な反応が同時間軸で進行していきます。特に、転写反応によって合成されてくる新生RNAは、RNAポリメラーゼから出てくると同時に構造が形成されていきます。この過程は、co-transcriptional foldingと呼ばれています。特定の分子との相互作用で構造を変化させるriboswitchなどは、co-transcriptional foldingを巧みに利用して機能を発揮していると考えられます。FIBERでは、転写反応の過程で一過的に形成される準安定構造が、遺伝子の発現調節などの機能に与える影響を解析しています。また、RNAの構造変化を利用した機能性RNAの構築を進めています。
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