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【FIBER】先端生命工学研究所のウイルスの遺伝子変異に関する論文が英国科学誌「Scientific Reports誌」に掲載されました

2022/01/26

甲南大学先端生命工学研究所(FIBER)の髙橋俊太郎准教授と杉本直己教授らの研究グループは、ウイルス遺伝子の複製時に細胞内の化学的な環境が変化することで、遺伝子の変異が生じることを明らかにしました。この研究成果は、英国科学誌Nature誌の姉妹紙「Scientific Reports」誌(電子版)に掲載されました。

新型コロナウイルスをはじめ、ウイルスの変異株の出現が現在大きな問題となっています。変異は遺伝子である核酸(DNAやRNA)が、ポリメラーゼ酵素によって誤って複製されることで生じます。この複製反応はワトソンとクリックが1953年に発見した核酸の化学的相補性という基本原理に基づいて行われますが、変異が生じるメカニズムは未だ明らかになっていません。本研究では、ウイルス由来のポリメラーゼによるRNAの重合が溶液中の誘電率などの化学環境の変化によって変異が生じ易くなることを明らかにしました。さらに、一度変異が生じると、複製ミスが次々と生じる現象も見出しました。これらの結果は、溶液環境によってワトソンークリックの基本原理が必ずしも優先されず、異なる相互作用様式で核酸が複製され得ることを示すものです。本研究の知見は、ウイルス遺伝子が宿主細胞の中でどのように変異するかを理解する上で重要な手がかりとなると考えられます。それにより、新型コロナウイルスの新たな変異株の発生の予測などの技術開発が期待されます。

【研究成果の掲載号】
Scientific Reports誌へのリンクはこちらです

【掲載された論文】
“Dielectricity of a molecularly crowded solution accelerates NTP misincorporation during RNA‐dependent RNA polymerization by T7 RNA polymerase”
S. Takahashi, S. Matsumoto, P. Chilka, S. Ghosh, H. Okura, and N. Sugimoto
Sci. Rep., 12, 1149, 2021 (DOI: 10.1038/s41598-022-05136-8)

【プレスリリース】
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先端生命工学研究所(FIBER)は、今後も生命化学分野における研究開発を通じて、科学技術の振興と研究成果を通じた社会還元に寄与してまいります。